松岡圭祐

瑕疵借り 感想

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瑕疵借り (講談社文庫)

 

「瑕疵借り(かしかり)」という題名から勝手に事故物件のアパートやマンションで起こる怪奇幽霊系のすごく怖いホラー物だと思っていました。ですが実際は全然ホラーではなく、心温まる感動系の物語でびっくりしました。人情系の物語と少しの納得謎解き系といった感じの小説でした。

 

瑕疵借り 感想

どのお話にも最後には涙が溢れるシーンがありました。ホラーでもミステリでもなく、ほっこりする系でしたね。最後にすとんと納得させてくれる謎解きというちょっぴり推理と想像(?)できれいにまるく収まって安心する物語でした。でもまぁ悲しい事件があってからの瑕疵借りなのでその辺は切ないですけどね。

 

※以下、少しだけネタバレを含む感想です

 

オムニバス形式で物語りは進んでいきます。全体的に読みやすかったです。そして続きが気になるといった感じでどんどんと読み進められました。主人公っぽい唯一どの物語にも出てくる彼、藤崎達也さんは主役という感じの一人称で語れることはない謎の人物として描かれています。瑕疵借りというのは本当に現実にもある職業なんでしょうか?興味本位でそういう事故物件に住む人がいるというのは他の小説で読んだことがありますが、これは知りませんでした。でも実際にありそうですね。

 

 

謎解き事件は起きない

途中、ミステリ要素を含む陰惨な事件が何か起こるのかなとか思ったら、そういうことはありませんでしたね。松岡圭祐さんのいつもの万能鑑定士Qシリーズ、特等添乗員αシリーズ、水鏡推理シリーズのミステリのような謎解き探偵系のミステリ要素を瑕疵借りに望んでいるとちょっぴり物足りないですが、おもしろかったです。