瀬那和章

神さまは五線譜の隙間に 感想

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神さまは五線譜の隙間に (メディアワークス文庫)

 

青春感動ほのぼの系ってあまり自分の好みじゃないんだけど、たまにはいつもと違ったジャンルを読むのもいいかなと手に取った小説でした。最初はどうなんだろうなと読み進めていったんですが、すごくよかったです。あれよあれよとこの物語の世界観に引き込まれていきました。病院の待合室で読んでいたんですが、うっかり涙がこぼれてきそうになってきてそっと本を閉じて、家でゆっくり読もうと思ったのでした。そして家でも何度も感動したり同情したり共感したりで涙ぐんでしまいました。大人になってから涙腺がゆるくなっていて自分でもびっくりします。

 

素敵なピアノ調律師さんのお話

思いっきり泣けちゃう素敵な物語でした。涙なしでは読めませんでした。題名の通り音楽の話です。ピアノの調律師さんのお話です。内容も詳しく専門的な知識が多く、勉強になりました。自分もどちらかといえば音楽関係のことに少しは触れているんですが、自分が知らない分野って興味深いです。あとは文章の表現力もとても美しくて、目の前に素敵な風景が浮かんできました。音を文章で表現するのは難しいと思うのですが、すごいですね。

 

※以下少しだけネタバレを含む感想です

 

インベンションとシンフォニア

インベンションとシンフォニアが小学3年生で弾けるなんてすごいですね。私は高校生ぐらいで弾いたような気がします。ピアノの先生に「当時の楽器はピアノではなくチェンバロみたいな感じで音の強弱はできない楽器だったんだよ」と教えてもらってからは、電子ピアノでわざとバロック系の音にして弾いていたのを思い出しました。最近は全くピアノを弾いていないけど久しぶりに弾いてみたくなりました。インベンションの1番くらいはまだ弾けるんじゃないかなと思います(笑)遠き山に日は落ちてとかヨナ抜きとか超絶技巧のリストやショパンのお話だったり、自分の知っている知識が出るとうれしいですね。

 

 

漢字の振り仮名とは

罅「ひび」これには振り仮名振っておいて欲しかったなと思います。たぶん「ひび」って読むんだったよねとは思いましたが、これの所為で折角、物語の世界に入り込んでいたのに、台無しになってしまいました。「切迫」「今朝」「急遽」の振り仮名とかはいらないんで(笑)ぜひ「皹」に振り仮名をお願いします。もしくは「ひび」とひらがなで書いて欲しかったですね。あとはバーニャカウダーですかね。急におしゃれなものが出てくると戸惑います(笑)

 

 

最初はどうなのかと思いましたが、登場人物もみんなよかったです。音楽の知識もよかったですし、文章の表現も美しく引き込まれる綺麗な音楽物でした。続編を希望します。ワン太くんと時子さんの関係も今後発展するのか楽しみです。