久賀理世

ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 感想

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ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 (講談社タイガ)

 

「ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲」という小説を読みました。おもしろかったです。ですが小泉八雲である必要があったんでしょうか?オリジナルの創作キャラクターでも十分いけたと思うんですけどね。私は小泉八雲の生い立ちを知っていたので楽しめましたが、知らなかったら、ふーんそーだねって感じだったのかもしれません。

ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 感想

出だしからひきこまれる台詞で物語が始まりました。出だしは、もしかして銀河鉄道の夜みたいなお話ですか?という感じから始まりました。全体的に文章がとても綺麗で雰囲気がありました。外国の全寮制の寄宿舎で登場人物が美少年たちというところもよかったです。続編が出たらぜひ読みたいです。

 

 ※以下、少しネタバレを含む感想です

 

外国の寄宿舎で登場人物が美少年たちという設定が萩尾望都さんのトーマの心臓を思い出だされました。もちろん全く違うお話でしたけどね。こういう不思議でちょっと怖い雰囲気いいですね。好きです。美少年たちが出てくるのもいいですね。主人公であろう語り部の少年はどうなっちゃうの?大丈夫?という気持ちで読み進めていきました。ちゃんと最後まで彼がいて安心しました。たまに1話だけのつかみための登場人物だったりすることもありますからね。

 

文章の雰囲気が綺麗

全体的に文章の響きがとてもきれいでよかったです。でも、この作者さん結構聞きなれない単語を使ったりするのでその度、読書を中断して調べいる自分がいます。難しい漢字に振り仮名もついていなかったりで、大変でした。

 

「穿鑿」って何て読むの?振り仮名も振ってないですね。でも前後の文脈からすると詮索のことかなと思って調べてみるとまさにその通りでした。なんでわざわざこんな難しい漢字を使ったんでしょうか?まぁ字面はかっこいいですよね。そしてさらになんで振り仮名を振らないんでしょうか?

 

その他の、「見栄」や「敷地」「鬱蒼」「僻地」だとか振り仮名が必要だと思われない漢字には振り仮名がふってあるんですよね。常用漢字がどうとかのちがいなでしょうか?なんかちょっともやもやします。読者に意地悪してるんじゃないですよね?

 

頭の良さをひけらかしているわけでもないですよね?と思ったら1回目にはルビが振ってありました。でもふだん見慣れない漢字には何度でもルビをつけて欲しいものです。でもその後も何度か「穿鑿」を見かけましたが、もう振り仮名なしでも読めます(笑)

 

その他、ちょっと気になった用語

バンシー。注釈がないけど妖怪のたぐいかな?どうやら死を予見したら泣く女性の妖精らしいですね。

平仄を合わせるとは、順序やつじつまを合わせること

レイヴンは大鴉

ロビンは駒鳥

 汎神論(はんしんろん)とか初めて聞きました。

 壁龕(へきがん)壁をえぐって造られたもの。古代ローマ建築でとくに盛んに造られた。

ヒースって何?花のこと?

イデア?時空を超越した非物体的、絶対的な永遠の実在。

バンジョーは三味線みたいな楽器。

こっくり 深みのあること。こっくりさんではないですね(笑)

 

たまに混乱する

急にパトリックかオーランドのどちらの台詞かわからないところがありましたね。というか、あとからそういう意味かとわかりましたが、ちょっとわかりづらかったですね。ちょっと言葉足らずで逆の意味になっちゃってたんですね。なんとか理解できました。

 

「訊いてもいいか」じゃなくて「何でわかったんだ?」って訊いてくれればよかったのいといった感じですね。どちらの台詞かわからないところが他にも数箇所あったのが惜しかったですね。

 

続編を希望

作者さんは頭のいい人なんだろうなという印象を受けました。ですが、頭がいいからなのか文章をわかりやすく伝えられていない気がして惜しいですね。もっとわかりやすい文章にしてもよかったかなと思いました。あとは聞きなれない用語や現象や妖怪のことは詳しく説明して欲しかったですね。読書を中断して調べなければならなくて、小説の世界観に浸る気持ちが継続できなかったのが残念です。

 

でも物語の雰囲気も謎解きもキャラもとてもよかったです。続編を期待します。あとこの小説に全然関係ないですが、題名の「ふりむけばそこにいる」というので「振り返れば奴がいる」というドラマを思い出しちゃいました。多分、再放送で見たんだと思いますが、医者の話しですごくおもしろかった記憶があります。